湯梨浜町で「同和問題についての住民意識調査」が行われているとのことです。地元の方から調査票がアップロードされました。以下を、ご覧下さい。
質問内容は以下の通りです。選択肢や小さな子項目については省略しています。
問1.自分自身の人権は守られてると思いますか。
問2.今までに他人の人権を侵したことがあると思いますか。
問3.「結婚式は対案の日にする」とか「葬式は友引の日にしない」などの風習について、どう思いますか。
問4.就職や結婚のときに家柄・財産・親の仕事や地位などの身元調査をすることを、あなたはどう思いますか。
問5.同和地区や同和問題について意識することがありますか。
問6.同和地区や同和問題のことについて初めて知ったのはいつごろですか。
問7.同和地区や同和問題のことをあなたが始めて知ったのは、どのようにしてですか。
問8.同和地区の人たちに対する差別が今でもあると思いますか。
問9.過去3年間のうちに、同和問題を学習する会(推進大会、講演会、研修会、部落座談会、部落問題懇談会、学習会、訪宅実践など)に何回ぐらい参加されましたか。
問10.あなたは湯梨浜町内で発生している差別事象について知っていますか。
問11.同和問題について、ここ2〜3年の間に家族で話題になったことがありますか。
問12.あなたはここ2〜3年の日常生活の中で、部落差別をするような発言や態度の場に居合わせたことがありますか。
問13.学校等(保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校)での同和教育について、あなたのお考えに近いものはどれですか。
問14.同和地区を中心に周辺地域を含めた生活環境の改善や生活の向上のために国や県、町が行ってきた同和対策事業(道路整備・環境改善事業等)についてどう思いますか。
問15.同和問題について、これからあなた自身が知りたいことや勉強したいことを最大3つまで選んでください。
問16.同和問題についての理解を深めるためにはどのような方法がよいと思いますか、特に重要と思われるものを最大2つまで選んでください。
問17.同和問題を解決するにはどうしたらよいとお考えですか。お考えに近いものを最大3つまで選んでください。
問18.同和問題についてのご意見をお聞かせ下さい。
ちなみに問8については「まだまだ多くの課題を抱えており差別事象も発生しているのが現状です」という「正解」が送状に書いてあります。
鳥取県は全件でも意識調査を実施しています。平成16年度の調査では湯梨浜町内で回収されたサンプルは82件に過ぎないので、町が独自にさらに詳細な調査をやろうということだと思います。私の知る限り、こういった独自の調査は智頭町や旧船岡町でも行われていました。
倉吉市にお住まいの方から、倉吉市教育委員会の「小学校・中学校 同和教育年間指導計画」(1999年3月)を入手しました。この冊子には、教材名を挙げながら指導の内容が事細かに書かれています。その内容は、おおよそ鳥取県の作成した「人権・同和教育の指導のあり方」を具体化したものです(時期的には倉吉市の指導書が古いので、以前の記事で採り上げた県の指導書を受けて作られたわけではありません)。
その中の「学年目標」の部分を抜き出してみます。
小学校
| 1学年 |
身のまわりの差別にきづき、みんなでなかよくしようとする。
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| 2学年 |
身のまわりの差別を解消していきながら、くらしの中の差別に気づくようにする。
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| 3学年 |
くらしの中の偏見や差別に気づきそれをみんなでなくそうとする。
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| 4学年 |
暮らしの中の偏見や差別をなくそうとし、さらに部落差別に気づくようにする。
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| 5学年 |
部落差別に気づき、被差別部落に対する偏見や差別を許さない心情を高め、社会にある不合理や矛盾、差別をみんなで解決していこうとする。
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| 6学年 |
部落差別の不当さを理解し、基本的人権を尊重するとともに、あらゆる差別をなくするための行動力を身につける。
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| 1学年 |
人権の大切さを正しくとらえ、部落差別や不合理・偏見などを自らの問題として解消しようとするとともに、差別を許さない仲間づくりをする。
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| 2学年 |
部落問題やその他の人権にかかわる問題の歴史的背景や解放への歩みを正しく理解し、連帯して社会の矛盾を解消しようとする。
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| 3学年 |
部落問題やその他の差別問題の本質を正しく理解し、その解放運動から人間としての行き方を学ぶとともに、自らが差別解消に向けて行動する。
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やはり、身のまわりの差別に気づかせる指導をしています。言い換えれば、差別が存在することを前提とした指導です。そして、その差別の具体例として部落差別が重要視されているのが分かります。
そして、倉吉市でも「立場宣言」が行われています。その核心となる記述が「部落問題に関する学習」の「6学年 ねらいと学習内容」の部分です。
| 教材領域 |
題材 |
ねらい |
学習内容 |
資料 |
| 道徳 |
今こそ自分が |
自らの社会的立場の自覚を深めるとともに、部落差別解消に向けて、自分がどのようにかかわっていけばよいのか考える。 |
○主人公の小学校時代の差別性をとらえる。
○村にあった部落差別の実態を考えさせるとともに、部落差別解消に向かって立ち上がっていた主人公の心情をとらえる。
○課題解決に向かって行動する主人公のすばらしさに学ぶ。
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倉吉市同和教育教材1 |
| 学活 |
地区進出学習会で学ぶ仲間たち |
地区進出学習会のねらいや学習内容を正しく理解するとともに、部落差別解消のため行動しようとする態度を育てる。 |
○地区進出学習会について知っていること、疑問に思っていることを話し合う。
○ビデオ視聴をし、感想を出し合う。
○地区進出学習会がなぜ今もあるのかを考え、差別をなくしていく仲間として自分は何ができるのか考える。
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倉吉市同和教育ビデオ教材 |
これは、道徳の時間に同和地区の子供たちが「立場宣言」を行い、その後のホームルームで「地区進出学習会」についてビデオを見せて感想を書かせる、といような段取りになると思われます。
なぜこの指導が立場宣言を意味するのかと言えば、地区進出学習会(学習会)は同和地区の子供だけが受けているものであるからです(学習会と言ってもピンと来ない方は、学習塾のようなものを想像してください。元々は、同和地区の子供たちにたいする学力保障として始められたものです)。いわゆる有地区校(校区内に同和地区がある学校のことをこう呼びます)で、立場宣言を行わずに学習会についての指導をすることは考えられません。なぜなら、一部の子供たちが学習会に通っていることは誰でも知っているためです。同和教育の時間に学習会を採り上げれば、その子供たちに共通することは「部落出身である」ということが必ず明らかになります。
この指導書は1999年のものですが、倉吉の一部有地区校における立場宣言は現在でも行われていることが確認されています。最後に、倉吉市教委の現在の(非公式)見解を載せておきます。
各小・中学校で取り組まれている『自らの社会的立場の自覚を深める学習』について
自分のくらしやそれを取り巻く社会の中にある部落差別をはじめ、さまざまな差別の問題やそれを取り巻く社会の仕組みを見据え、「自分の生き方」や「差別を解消するための社会的役割」を自覚していく学習です。
このことを通して、自分と向き合い、社会的に自立し、主体的な生き方を求め、仲間を広げていく力を子ども達に育んでいくことをねらいとしています。
特に同和地区児童生徒におきましては、保護者や各人権文化センター等の関係機関等の理解と協力を得ながら、地区進出学習会や家庭での親子の話し合い等を通して、自分の街や村の調査活動を行ったり、親の被差別体験や先人の生き方に学び、自分と部落差別との関わりを考える取組みを行います。そのなかで、決して差別に屈することなく、勇敢に差別に立ち向かっていった先人や自分の家族に自身や誇りを持つと共に、自らも主体的に部落差別を解消しようとする社会的立場の自覚を深めてまいりました。
一方、地区外児童生徒におきましても、自らと部落差別との関わりを考える中で、一人ひとりが部落差別をなくすることを自分の問題として捉えるようになってきました。また、このような取組みを行う中で、それぞれが持つ心の悩み、葛藤やわだかまりにも目を向けるようになり、再度自分自身を見つめ直すことでそれらを乗り越えることができるようになってきました。このように、真に一人一人の意識に迫る手法を当して、子供達に人間性、社会性を身につけさせる取り組みを行っているところであります。
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最近、鳥取市のネタばかりなので、たまには他の地域のネタも採り上げます。
以前、
鳥取市の同和問題企業連絡会(同企連)について採り上げました。実は、同企連は鳥取の主要都市に存在します。すなわち、米子には米子の同企連があり、倉吉には倉吉の同企連があります。
しかし、元祖は鳥取市の同企連です。1990年、部落地名総鑑事件などで解放同盟の糾弾を受けていた4社(当時は四社懇と言われていました)のうち、鳥取県東部の3社が鳥取市同企連を結成しました。それは鳥取でも有名な花形企業、
鳥取三洋、日ノ丸自動車、中国電力鳥取支社です。そして、残りの一社
オムロン倉吉をはじめとする企業で1994年に結成されたのが倉吉同企連です。
件の4社の倉吉営業所はもちろん、倉吉同企連には鳥取の有名企業が名を連ねています。
JR西本倉吉駅、株式会社いない、神鋼機器工業、倉吉グンゼ、鳥取オンキョー、鳥取銀行倉吉支店、山陰合同銀行倉吉支店などです。
倉吉同企連の電話番号を調べると倉吉市役所産業部企業立地推進室の電話番号になっており、鳥取市同様、市役所内に窓口があることが分かります。
同企連の会員企業には同和問題研修推進委員がおり、講師による講演、座談会、啓発ビデオ鑑賞といった研修が社員に対して行われます。全社員参加しての研修、というのが理想なようですが、実態としては半数以下に留まるようです。ともかく、同企連会員企業は人権教育に熱心な企業ということになります。
最後に、倉吉同企連の10周年記念誌に掲載されている、部落解放同盟倉吉市協議会委員長の中野俊夫氏の祝辞から引用しておきます。
「現在『人権教育及び人権啓発の推進に関する法律』が制定され、『人権侵害救済法』制定の運動が全国的に高まっている今、倉吉同企連の役割と存在は重きをなすものと思います。今後ともその取り組みを続けていただきたいと思います。」
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