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同盟休校(3) 〜教育に与えた影響〜

2度目の大規模な同盟休校は1980(昭和55)年1月28日に行われました。この同盟休校も全国的に行われたものですが、全国紙ではほとんど扱われていません。地元鳥取県の日本海新聞では、社会面で比較的大きく報じられています。

しかし、この同盟休校は前回よりもさらに大規模なもので、部落解放同盟鳥取県連の発表によれば、参加者は2512人、実に同和地区児童生徒の56%が参加するというものでした。前回同様東部での参加率が高く、東部80%、中部69%、西部22%となっています。

なお、この同盟休校に参加したのは児童生徒だけではありません。件の保育所では「同盟休園」が行われています。

ともかく、現在の人権・同和教育に「社会的立場の自覚」が盛り込まれており、その運用に鳥取県の東部と西部で大きな違いが見られるのは、この同盟休校が大きな要因となっていることは間違いありません。

教育に与えた影響は、指導書からも読み取ることが出来ます。私の手元に、同盟休校以前の昭和46年10月に発行された、鳥取県教育委員会の同和教育資料があります。これは74ページに渡る非常に詳細な指導書ですが、「社会的立場の自覚」については全く触れられていません。また、児童生徒に差別があると気づかせる指導もありません。

同盟休校以前の同和教育は国の同和対策事業に基づいたものですが、その根底にあるのは「正義と心理を重んずること、公平な態度、科学的な考え方」といったことで、従来から理想とされた社会人像を実現するものでした。しかし、同盟休校後の同和教育は全く特殊なものに変わりました。

同盟休校後の昭和55年3月発行の同和教育実践事例集には「社会的立場の自覚」という言葉が出てきます。以下は、「校内同和奨学生研修会実施事例 - 社会的立場の自覚を求めて -」と題された解説からの引用です。

(昭和)50年、51年と教師自身の研修も進み、地域進出(隣保館訪問、地区出身生徒全家庭訪問、地区懇談会参加)の定着化によって同和地区の保護者との連携も深まり、学校の同和教育が進むにつれて教師も地区出身生徒も本当の意味で胸を張って同和奨学生であることを、同和地区生徒であることが言えるようになった。そして53年度には全校集会、あるいはホームルームで同和奨学生に対する連絡、指導が何のわだかまりもなく行われるようになり、54年度には同和地区出身生徒が全員同和奨学生となった。

この下りからも、当時「立場宣言」が行われていたことが分かります。

この同和奨学金制度は昭和40年から既に始まっていました。奨学金と言っても「支給」であるため、返還の必要はありません。当時を知る方の話では、友達から「自分は奨学金をもらっていて、それは返さなくていいものだ」といったことを聞いて、「そんなうまい話があるか、そりゃ泥棒よりひどいな」と罵ったそうです。もちろんその方は、当時は彼が同和地区出身者であることも同和奨学金という制度があったことも知りませんでした。

「全員同和奨学生となった」という部分も興味深いです。同和奨学金の給付条件には、同和地区出身だけでなく「経済的理由により就学が困難であると認められること」「学業成績良好で性行正しく身体が強健であること」という条件があったのですが、実際は空文化していたようです。

そして、指導の中には狭山事件の署名活動といった、解放同盟の政治運動が堂々と出てきます。私が中学生だった1994年前後も、このような指導は続いていました。

昭和46年の同和教育資料には次の記述があります。

教育の政治的中立性の確保に努め、同和教育の推進をはからねばならない。

これは、教育基本第8条第2項の規定によるもので、同和教育と政治的な運動とを明確に区別し、政治運動そのものが直ちに教育であるといった考え方に偏ることのないように留意して、児童生徒の見方や考え方を、ある特定の政治的立場や方向に固定させることのないよう、公教育機関としての学校の立場を堅持して教育にあたる。

この記述が、色あせて見えます。もちろん、現在の同和教育の指導書にこのような記述はありません。

教育基本法の精神に反する同和教育が今現在でも行われているのが鳥取の実情です。
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